明治維新の頃,日本にはまだ獣医の制度はありません.この頃は馬の療治は武士の身分の「馬医」が行っていました.やがて,軍隊が洋式化され,革靴,羊毛服,牛肉缶詰が大量に必要となると,馬医は獣医と名称を変え,資格も国家試験免状となります.日本の獣医術や獣医学は主に軍馬の治療と軍人の食料(牛)・衣服(羊)のために発達しました.軍犬や軍鳩が研究の対象となるのは,ずっと後の事です.

2009年3月26日木曜日

有隣堂・震災後の消息

有隣堂震災後の消息
東京市外下渋谷三八六番地落合弥三方有隣堂・穴山篤太郎 一同無事に付き憚りながら御安意願い上げ候取敢えず前記の場所に仮寓し鋭意開店の準備に努力致し居り候.
その他の消息
市外渋谷 陸軍獣医学校高等官一同・陸軍獣医団 当校は建物器具類の破損は相当に有り候へ共,幸いに火災を免れ,人馬に異常之無く候
市外駒場 中央獣医会 同会印刷所全焼の厄に遭ふ
市外下渋谷 牛乳タイムス社 本社は幸ひ災害を免れ・・・
東京市外目黒 日本獣医学校 本校も予定の如く九月十一日より授業を開始する能ず・・
・二週間だけ臨時休業・・・
東京地方に続いて神奈川県地方,千葉県地方の誌友消息がある.関東大震災は九月一日午前十一時五十八分四十四秒に第一震,東京地方では十六秒後に出火,四十一万一千三十五戸が焼失.農商務省や畜産局も全焼した.
「現代の獣医」第九巻弟四号・震災号.現代の獣医社発行より

0 件のコメント:

コメントを投稿