明治維新の頃,日本にはまだ獣医の制度はありません.この頃は馬の療治は武士の身分の「馬医」が行っていました.やがて,軍隊が洋式化され,革靴,羊毛服,牛肉缶詰が大量に必要となると,馬医は獣医と名称を変え,資格も国家試験免状となります.日本の獣医術や獣医学は主に軍馬の治療と軍人の食料(牛)・衣服(羊)のために発達しました.軍犬や軍鳩が研究の対象となるのは,ずっと後の事です.

2009年5月26日火曜日

日本帝国家畜伝染病予防史について

「日本家畜伝染病予防史」は山脇圭吉著で昭和十年の刊,昭和八年六月から「中央獣医学雑誌」の「調査」に掲載されたものを纏めて刊行されたものである.内容は同一であるが第Ⅰ章と(4)の記述には誤りがあるので,畜産史や防疫史の参考文献とする場合は注意が必要である.