明治維新の頃,日本にはまだ獣医の制度はありません.この頃は馬の療治は武士の身分の「馬医」が行っていました.やがて,軍隊が洋式化され,革靴,羊毛服,牛肉缶詰が大量に必要となると,馬医は獣医と名称を変え,資格も国家試験免状となります.日本の獣医術や獣医学は主に軍馬の治療と軍人の食料(牛)・衣服(羊)のために発達しました.軍犬や軍鳩が研究の対象となるのは,ずっと後の事です.

2013年2月4日月曜日

蒲の穂綿と因幡の素兎伝説

蒲黄を止血に用いるとの説がある.蒲黄とは蒲の花粉のことで,穂綿とは異なる.写真がその穂綿で,節分の日に撮影した.神話にある蒲の穂綿もこちらで,ふわふわの綿毛で傷面を覆い圧迫すれば止血が出来る.節分の頃に飛ぶ穂綿と,この頃の季節風・強いナムジの風の神『オホナムジノミコト』の話は科学的に良く合致する.なお,神話の兎は海水と真水で爛れた皮を洗うとあるが,両方共刺激が強く治療には適さない.正確には海水と真水の混じる所で,食塩濃度で一パーセントの所が最も良い.