明治維新の頃,日本にはまだ獣医の制度はありません.この頃は馬の療治は武士の身分の「馬医」が行っていました.やがて,軍隊が洋式化され,革靴,羊毛服,牛肉缶詰が大量に必要となると,馬医は獣医と名称を変え,資格も国家試験免状となります.日本の獣医術や獣医学は主に軍馬の治療と軍人の食料(牛)・衣服(羊)のために発達しました.軍犬や軍鳩が研究の対象となるのは,ずっと後の事です.

2010年1月11日月曜日

「改訂日本古代家畜史」 昭和五十七年 有明書房発行の目次と参考文献

「改訂日本古代家畜史」昭和五十七年 有明書房発行の目次と参考文献
序  章
  第一節 家畜の意義
  第二節 家畜の起原
  第一項 愛玩起原説
   第二項 宗教起原説
   第三項 経済起原説
   第四項 備荒貯蓄起原説
  第三節 家畜飼養の発展
   第一項 家畜飼養目的の分化
   第二項 家畜飼養の伝播
 第一章  犬
  第一節 由来
    第一項 考古学的遺物
    第二項 飼養とその年代
    第二節 名称
    第三節 飼養目的
     第一項 食糧
     第二項 狩猟
     第三項 防盗
     第四項 禮物
     第五項 軍事
   第四節 犬養部
   第五節 犬と農業経営  
  第六節 畜犬の発展
第二章 馬
 第一節 由来
  第一項 考古学的遺物
  第二項 文献的考察
  第三項 輸入経路
  第四項 飼養年代
 第二節 名称
 第三節 飼養目的
  第一項 食糧
  第二項 祭祀
  第三項 交通
  第四項 狩猟
  第五項 軍事
  第六項 禮物
  第七項 儀杖
  第八項 農耕
 第四節 馬飼部
 第五節 馬と農業経常
  第一項 農業労働
  第二項 所有関係
  第三項 地理的分布
  第四項 糞
 第六節 畜馬の発展
   第一項 原因
  第二項 経過
   第三項 農業への影響
 第三章 牛
 第一節 由来
  第一項 考古学的遺物
  第二項 文献的考察
  第三項 輸入経路
  第四項 飼養年代
 第二節 名称
 第三節 飼養日的
  第一項 食糧
  第二項 祭祀
  第三項 交通
  第四項 農耕
 第四節 牛養部
 第五節 牛と農業経営
  第一項 農業労働
  第二項 所有関係
  第三項 地理的分布
  第四項 糞
  第六節 乳牛
  第一項 根本資料
  第二項 頭数   
   第三項 地理的分布
 第七節 畜牛の経過
 第四章 猪
  第一節 由来
  第一項 考古学的遺物
  第二項 飼養とその年代
  第二節 名称
  第二節 飼養目的
   第一項 食糧
   第二項 祭祀
  第四節 猪養部
  第五節 猪と農業経常
  第六節 飼養の衰退
  第一項 原因
  第二項 経過
  第三項 結果
 第五章  鶏
  第一節 由来
   第一項 飼養とその年代
  第二節 名称
  第三節 飼養目的
  第一項 食糧
   第二項 祭祀
   第三項 計時
   第四項 娯楽
  第四節 鳥養部
  第五節 鶏と農業経常
  第六節 養鶏の発展 ○参考文献 コンラットケルレル著「家畜系統史」,「朝鮮史大系」,「京都帝国大学報告書」,「常陸風土記」,「播磨風土記」,「続日本紀」,「古事記」,「延喜式」,「日本書紀」,「三国志」.東京考古学会編「日本原始農業」,「三国史記」,「万葉集古義」,「東雅」,「日本釈名」,「大言海」,「日本古語大辞典」,「令集解」,「新撰称氏録」,「晋書」,「和名類聚抄」,「三代実録」

2010年1月4日月曜日

牛科撮要全

牛科撮要全  梅林堂寿梓 一七二〇年 享保第五龍集庚子  京・東六條下数珠ヤ町 丁子屋九郎右衛門   
牛科撮要序 
夫牛者農家之至用而助人力 
也勝於侘獣其功尤偉者也而 
天受之稟良薄於侘獣故食之
者摂養可用意也苟遇天疫之 
放行由飲食之窒碍忽生疾病 
也有一証俗呼多智死在旦夕 
甚則村村戸戸流注而牛属畢 
病矣窮郷賎民逢斯難則走神 
社告巫覡祓之慢委伯楽医之 
既至不救坐俟斃千槽櫪之間 
而巳鳴呼不帷蓋之思不及其 
物還與屠人之手可勝嘆哉我 
家業稼穡牛科之抜粋者数方 
世秘筐笥敢不洩也間依書肆 
之需新改正以加図画彩色令 
寿梓也然小秩何足徴唯備治 
牛之一小補耳也維眨
享保第五龍集庚子仲冬念日     
摂陽之野人       
桃林子書
きくわさん みのすじひとつふせたいら事
△きくわさん 土龍 海桐花 五八霜 牡蛎
右四品うめみずにて
白朮 当帰 枳殻 川弓 右等分に合せんじ飼うなり
はいと云うわずらい 目黄色になりはいいたむ
△はい 巻柏 牡蛎 五八霜 麒麟竭
右うめみずにて但 桔梗  羌活 麦門冬 黄今 括婁根  楊梅皮
右等分せんじ飼うべし
たち 目頭より赤きすじを三すじ出で目へのせ、目のふちを 吊り睨む也これをたちという
△たち 五八霜 土龍 海桐花  麒麟竭 鮒黒焼 鰻黒焼 
いな黒焼 巻柏 牡蛎
右等分に合うめみずにて 飼うべし
きのふ 目の内黄色になり赤き舌を出し舌先より涎垂るを きのふと云うなり
△きのふ 大黄 大 白朮 大 桔梗  縮砂 少 山梔子 中 
茯苓 細辛 升麻
右合せんじ飼うべし
きも 目尻より一すじ赤き筋を出し 足の内を向く也きもの わずらいと云う
きも 五八霜 土龍 蕗 各等分  茯苓 少
かい汁、夏は大根ゆきおろしの 汁にて春、秋は酢酒の汁の事
甘草 大 茯苓 中 黄今 等分 白笈 中 黄蓮 中  乾羌 少
合せんじ飼うべし
いんしょう 目頭より縁を赤くなし赤き舌を 垂れるをいんしょうと云う
△いんしょう 白朮 当帰 黄今 芍薬  茯苓 枳殻 甘草
右等分に合せんじ飼うなり
いんしょうの風邪 目頭より白まなこへ赤き血を 出し目を睨む赤き舌
少し垂れたるをいんしょうの風邪と云
△いんしょうの風邪 白朮 当帰 枳殻 薔薇  梹榔子 黄耆
右せんじかふべし
大祢つきさます事 □□の内を赤くなすを 大祢つきと云うなり
△大祢つきさます事 白朮 大 茯令 大  当帰 少 細辛 大  黄今 少 
乾羌 少  黄蓮 中 梹榔子 少 土龍 少 莪朮 大 甘草
右合せんじ飼うべし
いの腑のわずらい 目の内の白くなるをいの腑の わずらいと云う
△いの腑のわずらい 莪朮 木香 胡黄蓮 黄今  黄耆 白述 桔梗
右等分に合せんじ飼うべし
かんの腑いたみ 目薄く黄色に赤き舌少し出すを かんの腑のいたみと云うなり
△かんの腑いたみ 黄今 白述 黄耆 薔薇  藜蘆 麦門冬 縮砂
右等分に合せんじかふべし
しんの臓のいたむ事 目尻より赤き血を出し目をひきつり舌をくわえしんの臓の
わずらいと云
△しんの臓のいたむ事 甘草 香木 麦門冬 牛膝  人参 大黄
右等分に合せんじ飼うべし
たんの腑の事 目下赤くひつめを睨む
△たんの腑のいたみ 乾羌 大 当帰 中 桔梗 少  使君子 同 葛根 大 
縮砂 右合せんじ飼うべし
こころのわずらい 目よりちをいだす
△こころのわずらい 川弓 大 黄蓮 中 細辛 大  五茄皮 中 黄今 大 
枳殻 大 陳皮 少 右合せんじ飼うべし
四津の腑いたみ 目尻の上より赤き筋一筋出し 目を引きつり舌を少しくわえる
△四津の腑いたみ 白述 大 当帰 同 縮砂 少  天南星 少 地龍 甘草 
附子 右合せんじ飼うべし
かのわずらい 目頭より上のふち赤くなして 引き付く
△かのわずらい 茯令 細辛 大黄 当帰  木香 楊梅皮
右等分に合せんじ飼うべし
ひの臓のいたむ事 目を白くなし黒まなこ無きは ひの臓いたむと云う
ひの臓いたむ事 川骨 大 枳殻 中 薔薇 大  梹榔子 少 紫蘇 大  甘草 中 黄耆 少 土龍 中 右合せんじ飼うべし
うめきやまいの事 目の内赤く□□□□ うめきやまいの事
黄璧 中 川骨 少 甘草 大  川弓 少 木通 大 白述 大  苦参 少 
葛根 大 黄檗皮 右合せんじ飼うべし
しんの臓の風邪里へ落ちる事 目下より赤きくもを出し 下腹より黄色になり
総の毛を 立つるなり
△しんの臓の風邪里へ落ちる事 紫蘇 乾羌 陳皮 升麻  梹榔子 五茄皮 薔薇 白述  甘草 黄蓮 葛根 祢さく 右等分に合せんじ飼うべし