明治維新の頃,日本にはまだ獣医の制度はありません.この頃は馬の療治は武士の身分の「馬医」が行っていました.やがて,軍隊が洋式化され,革靴,羊毛服,牛肉缶詰が大量に必要となると,馬医は獣医と名称を変え,資格も国家試験免状となります.日本の獣医術や獣医学は主に軍馬の治療と軍人の食料(牛)・衣服(羊)のために発達しました.軍犬や軍鳩が研究の対象となるのは,ずっと後の事です.

2018年4月21日土曜日

山口県獣医会会則



2006/07/27
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[ 07:15 ]
スライドショウ ]
山口県獣医会会則 大正六年九月十九日認可
第一條 本会は山口県獣医会と称し事務所を山口県庁内に置く
第二條 本会の区域は山口県一円とし郡市の区域に依り支部を置く
第三條 本会は県内在住の獣医を以て組織す但し獣医にあらさるも本会の趣旨を翼賛する者は会員たることを得
 会員を分ちて左の三種とす
 一 通常会員 開業せる者
 二 特別会員 開業せさる者
 三 名誉会員 前項但書該当の者にして会長の推薦に係る者
第四條 本会は獣医畜産学を考究し実地の技能を錬磨し人畜衛生及畜産の発達に資し兼て会員相互の親睦を図るを以て目的とす
第五條 前條の目的を達する為左の事業を行ふものとす
 一 講習会講話会の開設
 二 会報の発刊
 三 質疑応答
 四 薬価其他料金の制定
第六條 本会に左の役員を置く但し総会の決議を経て別に顧問をおくことあるへし
 一 会長一名 会長は本会一切の事務を総理す
 二 副会長一名 副会長は会長を補佐し会長事故あるときは之を代理す
 三 幹事五名 幹事は会長の指揮を承て庶務会計に従事す 
 四 評議員五名 評議員は会務に関する諸般の事項を審理す
 五 支部長十二名 支部長は会長の指揮を承け支部一切の事務を整理す
第七條 役員は総て名誉職とし総会に於て之を選挙す但し支部長は会長の委嘱に依る
第八條 役員の任期は満二年とし再選を妨けす
第九條 役員に欠員を生したるときは次期の総会に於て補欠選挙を行うものとす但し其任期は前任者の残任期間とす
第十條 会長第三十二條但書の承諾を求めたる者あるときは役員に諮問して認否を決す
第十一條 会議を分ちて左の三種とす
 一 通常総会
 二 臨時総会
 三 役員会
第十二條 通常総会は毎年一回之れを開き獣医畜産上に関する講演竝討議を為し且つ会務其他の報告、会則の改正役員の改選其他重要の事項を協定す臨時総会は会長に於て必要と認めたるとき又は通常会員三分の一以上の同意を経て請求ありたるとき之を開く役員会は会長に於て必要と認めたるとき之を開く
第十三條 会議の議決は多数決とす可否同数なるときは会長之を決す但し第五條第四号に関する事項の決議は通常会員出席者三分の二以上の同意に依り決するものとす
第十四條 会議の決議権を委任したる者は出席者と見做す
第十五條 通常会員及特別会員にして出席し能はさるときは決議権の委任者を定め開会前日迄に会長に届出つへし
第十六條 本県に在住し獣医免状を有する者は本会に加入する義務あるものとす但し己むを得さる事情に依り入会し能はさる者は知事の認可書を添へ会長に届出つへし
第十七條 本会に入会せむとする者は住所(郡市町村地番屋敷番原籍寄留の区別)官職職業氏名を記載し一ケ年分の会費を添へ本会事務所に申込むへし前項届出事項に変更を生したるときは其都度届出つるものとす
第十八條 会員は大正五年七月本県令第二十五号獣医蹄鉄工取締規則第一條第二條の届出を為すときは同時に之を会長に報告すへし
第十九條 会員にして第三條の資格に変更を来したるときは十日以内に会長に届出つへし第二十條 本会の会計年度は毎年八月一日に始り翌年七月三十一に終るものとす
第二十一條 本会の経費は会費及其他の収入を以て之に充つ
第二十二條 経費の予算は総会前役員会に於て之を編成し総会の決議を得るものとす経費の決算は役員会の審査を経総会に於て之を報告するものとす
第二十三條 本会左記各項の収入を以て基金を造成するものとす 
 一 指定寄付金
 二 基金併預金の利子
 三 其他総会の決議に依り定めたるもの基金は其利子を以て本会経費を支弁するに至る を限度とす
第二十四條 毎年度の経費決算上余剰を生したるときは之を翌年度に繰越すものとす
第二十五條 本会の基金及現金は郵便貯金に預入し置くものとす
第二十六條 基金は総会の決議を得るにあらされは之れを支出することを得す
第二十七條 会員は会費として一ケ年金五拾銭を拠出するものとす但し名誉会員は此の限りにあらす
第二十八條 会員は本会経費を負担する義務あるものとす
第二十九條 会員本県獣医蹄鉄工取締規則第五條の事項を知を事に報告するときは其旨会長に報告するものとす
第三十條 学術上参考となるへきもの若は病性不祥の患畜を発見したるときは原因症候療法若剖検記録等詳細なる報告書を本会に提出するものとす
第三十一條 畜主の招聘あるに際し前主治医のある場合は之れか紹介を要するものとす但し急速を要する場合は爾後に於て承諾を需むるも可なり
第三十二條 診断料薬価手術料滞在費及証明書料は本則の定むるところに依り之を徴収するものとす但し特別の事情ある地方にして所定の標準に拠り難き場合は会長の承認を受くへし
第三十三條 会員は左の事項を実行するものとす
 一 公徳を重んし品性の修養を怠らさること
 二 本県獣医蹄鉄工取締規則に違反せさること
 三 本則を遵守し本会の目的の達成を図ること
第三十四條 本則に違反する者を発見したる会員は直に会長に通報するものとす
第三十五條 本会は第三十八條薬価其他料金表を調整し之を会員に配布す
第三十六條 会員は前條の料金表を開業場患畜主の見易き箇所に掲くへし料金表を毀損忘失したるときは直に之れか交付を本会事務所に請求すへし但し再交付を受けたるものは別に定むる手数料を納付するものとす
第三十七條 会員にして会則に違背し又は会員たるの対面を汚損したる者は役員会の決議に依り相当の処分を為すものとす
第三十八條 薬価其他料金の種類及金額を左の通定む但し往診料診断料診断書料証明書料及検案書料を特別の契約に依り徴収する者にありては該料金に限り此の規定に依らさることを得
 診察料
一往診料壱里以内金壱円五十銭(一里を増す毎に五十銭を加ふ)
一滞在費壱日金弍円
一宅診料甲金壱円乙金五十銭
一死後診断料壱里以内金壱円五十銭(一里を増す毎に五十銭を加ふ)
一健康診断書証明書料金五十銭
一処方箋料金五十銭
一鑑定料金五十銭以上
 薬価
一内服薬 一日量 金四十銭乃至六十銭
一頓服薬 一回量 金五十銭乃至壱円
一皮下注射薬 一回量 金三十五銭乃至壱円
一血清注射薬 一回量 金参円乃至五円
一点眼薬 十瓦に付金二十銭
一外用水剤 百瓦に付金十銭乃至二十銭
一擦剤 百瓦に付金四十銭
一膏薬 拾瓦に付金弍拾銭
一吸入薬 一日量 金参十銭以上
一潅腸 一回量 金参十銭以上
一撒布薬 五十瓦に付金参十銭
但し高価薬は此の限にあらす
 外科手術料
一外科手術 金参拾銭乃至参円
一去勢料 馬 金弍円乃至五円 牛 金一円乃至弍円
但し犢は五十銭以上とす
一産科手術 金弍円乃至十円
診察料薬価及び手術料は総て現収するものとす

獣医蹄鉄工取締規則
第一條 獣医又は蹄鉄工開業シタルと気は開業年月日及開業地を出張所を設置したるときは設立年月日及其の位置併出張定日を五日以内に知事へ届出つへし其の届出事項に変更を生したるとき亦同じ
第二條 獣医又は蹄鉄工の免状を有するものにして開業獣医若くは蹄鉄工の代理者又は助手として業務に従事する者は従業地各被代理者又は雇主の氏名を五日以内に知事へ届出つへし其の届出事項に変更を生したるとき亦同じ
第三條 獣医又は蹄鉄工は何等の名義を以てするも免状を有せさる者をして其の業務を代理せしむることを得す
第四條 獣医は患畜の診断又は死畜の検案を為さすして薬剤処方書診断書検案書若しくは証明書を付与すへからす
第五條 獣医は獣疫予防法に規定せる獣疫以外の伝染病及流行病を診断し蔓延の徴ありと認めたるときは病名原因症候転帰及其の情況を直に知事に報告すへし
第六條 獣医は処方録及検案簿を備へニ箇年間之を保存すへし処方録には患畜の年令毛色特徴性用途病名処方投薬年月日経過併畜主の住所氏名を記入すへし
検案簿には死畜の年令毛色特徴性用途病名検案の概要斃死年月日併畜主の住所氏名を記入すへし
第七條 前条の帳簿は当該官吏の臨検を拒むことを得す
第八條 獣医は県の区域に依り蹄鉄工は一郡市以上の区域に依り獣医会又は蹄鉄工会を組織すへし
獣医会は郡市以上の区域に依り其の支会を蹄鉄工会は県の区域に依り其の連合会を組織することを得
前各項の場合に於ては左の各号に依り規約を設け知事の認可を受くへし其の之を変更したるとき亦同し
一、目的及業務の概目
二、名称区域及事務所位置
三、加入及脱退に関する規定
四、役員の選挙方法職務権限及其の任期に関する規定
五、会議に関する規定
六、経費の収支に関する規定
七、違約者処分に関する規定
八、其の他必要の事項




















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