東京市京橋区南伝馬町二丁目十三番地.電話京橋一〇五五番(明治40年・陸軍獣医学校「病馬治験録」)とある.有隣堂の建物は関東大震災で破壊されている.古い地図を参照して現在の位置を探してみると,京橋区二丁目の明治屋ビルの辺となる.有隣堂は明治七年二月十八日創業.創業者篤太郎(とくたろう)は1919年3月歿.明治四十三年二代目が相続.
明治維新の頃,日本にはまだ獣医の制度はありません.この頃は馬の療治は武士の身分の「馬医」が行っていました.やがて,軍隊が洋式化され,革靴,羊毛服,牛肉缶詰が大量に必要となると,馬医は獣医と名称を変え,資格も国家試験免状となります.日本の獣医術や獣医学は主に軍馬の治療と軍人の食料(牛)・衣服(羊)のために発達しました.軍犬や軍鳩が研究の対象となるのは,ずっと後の事です.
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