明治維新の頃,日本にはまだ獣医の制度はありません.この頃は馬の療治は武士の身分の「馬医」が行っていました.やがて,軍隊が洋式化され,革靴,羊毛服,牛肉缶詰が大量に必要となると,馬医は獣医と名称を変え,資格も国家試験免状となります.日本の獣医術や獣医学は主に軍馬の治療と軍人の食料(牛)・衣服(羊)のために発達しました.軍犬や軍鳩が研究の対象となるのは,ずっと後の事です.

2012年1月8日日曜日

平凡社ライブラリー744『和本入門』

最近は千円を越える書物は古本屋で探すか,図書館で読むことにしている.退職の時,書物の処分に苦労して,現在では本当に必要な書物は蜜柑箱で三ー四個になってしまっている.それでも,この手の本を見つけると,むらむらっとして,大事なお年玉をくずして,千四百円も払ってしまうから,本好きもタバコと同じ中毒の一種であろう.文庫本で約三百ページ,小一時間のささやかな楽しみ.既に読んだ本のおさらいであるから,特に新しいことは出てこない.ただ,びっくりしたのは177pの『本の広告で出版時期を想定』で,自分でやった西村載文堂の馬経大全の刊年推定と全く同じ手法を著者がやっているのに驚いた.診療や研究の第一線から退き,昔の論文をさまざまに読み直して見ると,新しく入手した資料等など加筆・記録しておかねばと思うことが夥しい.想えば,岸師匠は三年間の年金生活で亡くなられた.

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