明治維新の頃,日本にはまだ獣医の制度はありません.この頃は馬の療治は武士の身分の「馬医」が行っていました.やがて,軍隊が洋式化され,革靴,羊毛服,牛肉缶詰が大量に必要となると,馬医は獣医と名称を変え,資格も国家試験免状となります.日本の獣医術や獣医学は主に軍馬の治療と軍人の食料(牛)・衣服(羊)のために発達しました.軍犬や軍鳩が研究の対象となるのは,ずっと後の事です.

2010年11月16日火曜日

相馬療鏡集について

「相馬療鏡集」については,現在資料が少ない.Googleの検索で北海道大学の情報が唯一ヒットするが,『仮名案驥集』の書写本とある.案驥は明らかに安驥の間違いであろう.手許の「相馬療鏡集」は春夏秋冬四巻で,最後に道流(橋本道派)仮名安驥集の書写と記されている.仮名安驥集には版本の記録があるが「相馬療鏡集」には版本刊行の記録が無いから,この書は近世から明治初期に流布した仮名安驥集の一つの型と見ることができる.

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